北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


村上恭彦(なよろ市立天文台長)*宇宙が身近な場所

 このコラムは「北極星」というタイトルですが、その北極星にお世話になりながら仕事をしているのが、私のような天文台の職員です。北の空にあってほぼ動かずに見える北極星。この星が見えると、たとえ普段と違う場所に行って空の多くが雲に隠れていても、方角が分かって、「今はこの時間だからあそこの雲間の星は〇〇か」と見当がつきます。

 そのように方角を知らせてくれるのが北極星なら、月日を教えてくれるのが暦です。今年は、いま私たちが使っているグレゴリオ暦が日本で採用されて150年。それまでの月の形を基にした太陰太陽暦から、太陽の動きを基にしたグレゴリオ歴に変わったのは太陰太陽暦での1872年12月3日。この日をグレゴリオ暦に合わせて1873年1月1日にしたことで、日本では月の形と日にちは無関係になりました。今でも暦と月の関係性が思い出されるのは中秋の名月の十五夜ぐらいでしょうか。

 宇宙の研究は進む一方、私たちの生活と月や天の川、満天の星空といったものは縁遠くなりつつあります。それでも、なよろ市立天文台「きたすばる」をはじめ、北海道には宇宙を身近に感じられる場所は多くあります。ぜひ、私たちの生活と宇宙のつながりを再確認しに「きたすばる」を訪れてみませんか。
 

 むらかみ・やすひこ 福島県二本松市出身、北大理学部で隕石(いんせき)を研究。2001年に名寄市役所入りし、16年からなよろ市立天文台長。21年から日本公開天文台協会長。広く天文普及に力を注ぐ。49歳。
 
(2023年1月30日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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