北極星
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高田園子(旭川道新エッセー教室受講生)*何かひとつでも
「お母さん、息子さんが校内のマラソン大会の練習で10位以内に入りました」。支援学級の先生から電話をもらった。小学6年生の時だ。信じられない気持ちだった。
現在30歳になった息子は自閉症だ。小学校では集団になじめず、勉強も運動も皆についていけていなかった。集団を乱す行動も多く、母親として悩むことばかりだった。
何かひとつでも、何でもいいから、周りの子についていけることがあれば、と思っていたところだった。「そうだ、走ることを続けさせてみよう」と考えた。
中学時代は家の近くのランニングを日課とした。2年生で初めて地元のマラソン大会の3キロ部門にエントリーした。ちゃんとゴールにたどり着けるか心配だった。どうやら近道をしたらしいが、ゴールして胸をなで下ろしたのを覚えている。
その後、息子は高等支援学校(当時の高等養護学校)に進んだ。陸上部に入り、走ることを続けてくれた。集団が苦手だった息子にとって、初めての部活動で良い指導者と一緒に走る仲間に出会ったことが転機になった。
現在は毎週日曜、地元の公園で仲間と共にトレーニングをしている。「何かひとつでも」と一心に願っていたあの頃を、時々懐かしく思い出す。
(2026年06月29日掲載)
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