北極星
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川崎正紀(留萌・飲食業)*変わらぬ故郷への思い
私の生まれは、留萌管内中部のヒグマ事件で有名な苫前町。そして私の実家は、地元の人でも「そこにまだ人住んでるの?」「夜とか冬とか帰れんの?」というところにあった。
目の前は海、裏は山。夕日は目の前に沈み、数百メートルごとにしかない街灯で、真っ暗な道でも月夜は海に反射し輝いている。真冬のしばれた朝には、けあらしで海から湯気がたつ。
今や限界集落を通り越して住む人もいなくなった。
そんな目の前の海にはコンブが一面に広がり、そのコンブの森の奥にはウニやヒル貝、アワビやナマコ、ホヤなどがたくさんいる。もう誰も住まなくなった故郷だが、海は昔から変わらず、たくさんの動植物が生きている。
先日、この前浜でナマコの密漁事件があった。
人の家の前で何してくれてる!ってことも思うが、そこに住まなくなった人間が言うことでもないと考えつつ、海上保安庁や警察の皆さまには本当に感謝している。
そこに住まなくなっても、やはりそこで育った人間は、その場所を大切に思っており、大事にしていきたいとも思っている。知らない誰かに勝手に荒らされるのは、やはり嫌なものである。
実家を出て早30年。たまには帰ってみますかね、生まれ育った海に!
(2021年9月21日掲載)
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