北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


大槻みどり(富良野・カフェ経営)*オノマトペ

 よっこいしょ、と言って立ち上がると一緒にいた日本語を勉強中の外国人にどういう意味か聞かれた。起き上がるとか重い物を持つなど力を入れる時の音だ、と答えると、そんな音にまで単語が存在するのか!と驚かれた。

 犬のワンワンや風のそよそよなどの擬音語と、疲れてぐったり、緊張でピリピリなどの擬態語を合わせてオノマトペといい、日本語はこのオノマトペが英語に比べて圧倒的に多いそうだ。例えば、ゲラゲラ笑う、クスクス笑う、ニッコリ笑う、フフフと笑う、これらは英語ではそれぞれ違う単語が用意されている。

 日本語は笑うという一つの単語にオノマトペを付けることによって、笑いを区別させることが多い。そして音のしない物、例えばゲレンデの雪の状態もフワフワ、バフバフ、ザクザク、カリカリなどとオノマトペで表すのが面白いそうだ。なんせ無音さえも「シーン」という音で表すのだから、確かに日本のオノマトペは奥が深い。

 「よっこいしょー」。うれしそうに覚えたての日本語を使う彼女に、これは立ち上がるのに掛け声が必要な時だけ使うのだと付け足した。疲れてるのか?と心配されたので、お正月にバクバク食べてゴロゴロしてたらブクブクになったと日本語で言ったら通じたようでニヤニヤしていた。

(2024年2月5日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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