北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*コロナ禍の宿泊業者

 去年に引き続き、今年もコロナ禍に翻弄(ほんろう)されている。なにせ、焼尻は小さな離島。夏に入り、人の出入りが多くなれば不安はつきまとう。まして、宿泊業者は島外から観光客を迎える立場。とにかく神経を使う。

 基準になるのは、緊急事態宣言下か否か。道内が宣言下においては休業を選んだ。のちに道内が解除されると、同業者がこぞって営業を再開した。僕もおおむねそれに倣っている。

 しかし、だ。お客さんの住所が緊急事態宣言下の可能性もある。宣言下の地域のお客さんだけ断る同業者の話も聞くが、その手法が適切かどうかは分からない。ワクチンを打っていることを主張するお客さんもいる。なら逆に、打っていない人もいるだろう。予約時に確認するが限界がある。

 一時、近隣の宿が営業再開するなか、当宿だけ休業を続けた時期もあった。また一度予約を受けたのち、お客さんの住む地域が宣言下となった際は、こちらから予約を断ったりもした。多くは理解を得られたが、中には怒るお客さんもいた。

 6月下旬、3度目の緊急事態宣言が解除されたことを皮切りに宿泊予約が立て込み、今はそれなりに忙しい。一方で、今なお休業を続ける観光サービスもある。地域としての方針もないので、業者ごとの判断に委ねられているのが現状だ。なかなか混沌(こんとん)としている。

(2021年8月9日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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