北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*電話や手紙がうれしくて

 4月に発令された緊急事態宣言に伴い、羽幌町でも焼尻、天売島への渡航自粛要請が出た。だからといって島の生活が大きく変化することはなく、観光客が来ないこと以外はいつも通りの日常が流れた。
 ただ宿泊業を営む立場としては、どこか寂しい毎日だったことは言うまでもない。その反動か、一時は遠方の島友達、旅友達とオンライン通話ばかりしていた。そんな中でうれしかったのが、お客さんからの電話や手紙だった。
 愛知県からは「元気にしてるかい」と電話。以前泊まってくれた、僕の倍以上の年齢の一人旅のお客さんで「夜遅くまで島の話をしたのが楽しかった」と。
 また、ある日は、月寒あんぱんとともに直筆の手紙が届いた。毎年遊びに来てくれているご夫婦からで、「雨の日にお客さん同士でカードゲームをしたのが忘れられない」と。
 うれしいのはもちろん、思い出が鮮明によみがえる。それにオンラインで何でもできてしまう時代だからか、電話や手紙が温かく感じられる。改めて宿をやっててよかったなぁとしみじみ。僕もたまには手紙を書いてみようかな。
 別の日、お客さんからご当地冷凍コロッケが届いた。「これをつまみにオンライン飲み会をしましょう」と。ありがたい。やっぱりオンラインも良いなぁ。
 
(2020年8月24日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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