北極星
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桑原隆太郎(名寄・文化団体事務局長)*本を読む日常
加齢で眠りが浅くなったせいか、毎朝4時ごろには自然に目が覚める。それから日課のラジオ体操までの2時間余り、読みさしの本を手に取ることから一日が始まる。
読書が退職後の日常生活における最大の活動というのは大げさか。読むのは社会や政治に関するものが多い。手にした一冊を読み進める中で引用文や参考文献が出てくるので、関連本を読みたくなる。そのほとんどを地元図書館のリクエストサービスを利用して入手できるのでありがたい。
ただ、近年とみに感じるのは読解力の不足。基礎知識が貧弱だからか、論旨を読み取ることに四苦八苦する。悔しいことに理解が及ばないのだ。それでも我慢して読み進める。歯がゆいことだが、これもまた読書につきものの所作のひとつと割り切るしかない。
そこで最近、「なるほど」と思った箇所やポイントと思われる段落を大学ノートに書き出すことにした。なじんだ万年筆で手書きすることで印象が強まり、記憶にとどめたい知識や認識を整理できるような気がする。書き抜きが蓄積することで僕なりの読書履歴にもなる。
このところコロナ絡みの「新しい日常」なる気恥ずかしい新語が流通しているが、その伝でいえば、僕流の「本を読む日常」も悪くない、と思ったりする。
(2020年6月22日掲載)
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