北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


柴田えみ子(旭川・尊厳死協会道支部理事)*腹をくくる

 「コロナ自粛でストレスたまってない?」

 友人が心配して電話をくれました。普段講演や外部評価の仕事、会議などで外を動き回っている私。対象はほぼ高齢者ですから、全て延期や中止を余儀なくされました。圧倒的に家で過ごす時間が増えたのです。普通なら「よ~し温泉だ」「ドライブに行こう!」となるところですがこの非常事態。家にこもるしかありません。最初はうろうろするばかりでしたがふと、「不況や困難の時に大切なのは腹をくくること!」という松下幸之助さんの言葉を思い出しました。

 私たちは当たり前だった生活が失われると不満を口にしがちです。しかし、この状況をいたずらに恐れたり、批判するのではなく、今できることを精いっぱいやるしかないのだと気が付きました。普段できない片付けや料理に取り組み、畑を耕しました。家族との会話が増えました。何より自分と向き合う時間を得ました。

 今までは当たり前に出かけ、人と肩をたたき合う生活がありました。そんな普通の日々がどれだけ幸せか認識を新たにした今、「禍(わざわい)を転じて福となす」の心意気でそれこそしっかり腹をくくり、長期戦に備えようと思います。過去を振り返ると人類はどのような困難も克服してきています。

(2020年5月11日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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