北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


國枝保幸(市立稚内病院長)*電話診療

 2020年4月24日、肺炎の男性が利尻島から市立稚内病院へヘリコプター搬送されました。北海道がんセンター(札幌)で通院治療を受けて新型コロナウイルスに感染し、宗谷管内で事実上の感染者第1号として報道されました。

 これに合わせ、病院では緊急事態宣言下での待合室の密集を解消するため、外来診療の制限を始めました。電話での処方箋発行を慢性疾患の通院患者にも広げ、病院に足を運んでもらう回数を必要最小限とする方針を決めました。

 その後、外来待合室は閑散としていました。しかし、これが病院の本来あるべき姿だと思いました。以前の、座れない患者が立ったまま順番を待ったり、何人もの高齢者がリクライニングチェアに乗せられて順番を待ったりするような混雑状況こそが異常でした。

 少しでも混雑を緩和したいとの思いから、コロナ下で認められていた電話(という名のオンライン)診療を始めることにしました。当時、オンライン診療は診療報酬の上では設定されていなかったのです。

 複数の診療科を受診する患者も多く、病態が安定している場合は各担当科の主治医の許可を得て、総合診療科として一括処方としました。電話診療は高齢者診療における医師と患者、その引率者の負担軽減に明らかに貢献します。現在も6施設の計114人に広げながら継続しています。
 
(2023年4月3日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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