北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


ボルネオカワガメ*体重20キロ 果物が大好物

 人気のある「おらんうーたん館」。春から秋にかけ、屋外の池のそばでカメの甲羅を指で突っつくオランウータンが見られる。カメの正式名は「ボルネオカワガメ」。この2種類の動物は、世界で3番目に大きな島、マレーシア・ボルネオに生息する点でつながりが深い。

 ボルネオでは、河川の開発やパーム油を作るためのプランテーション農業により環境破壊が進み、野生動物のすみかを奪っている。ボルネオカワガメは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧IA類(CR)」に指定され、絶滅の危険性が極めて高い。

 旭山動物園は、これまで飼育してきたオランウータンのリアン、ジャック、モリトの古里であるボルネオ島の環境保全活動として「ボルネオへの恩返し」プロジェクトに取り組み、来園者に自然を守る大切さを伝えてきた。ボルネオ仲間のカメとの混合展示もそれに連なる。

 このカメは10年以上前に動物園にやってきた。2016年にオランウータンの屋外放飼(ほうし)場の隣で試験的に展示を開始。「おらんうーたん館」整備に伴い、18年から同居している。飼育員の中野奈央也さん(34)は「自分以外の動物が同じ生活空間に存在することで、お互いの刺激になる」と説明する。

 このカメはメスで、甲羅の長さ約60センチ、体重約20キロ。淡水ガメとしては世界最大級で、甲羅は80センチまで大きくなるという。雑食性で園では主に乾燥エサを食べ、バナナなどのフルーツが大好物。あごの力が強く、少々固い肉でも難なく食べられる。眠るときも水の中。のんびりしたイメージだが、動くものを見つけると、すぐに追跡を始める俊敏さもある。カメとしてはやんちゃな部類に入るそうだ。

 寒さに弱いため、冬期はバックヤードで飼育する。今年も4月29日の夏期営業が始まると、オランウータンとの同居生活に入る。中野さんは「水の中で暮らすカメと、木の上で暮らすオランウータン。野生なら交わることがない動物たちが近くにいるのは動物園ならでは光景かも」と話す。
(渡辺愛梨)

 
【写真説明】夏期、オランウータンと混合展示されるボルネオカワガメ(諸橋弘平撮影)
(2023年4月3日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP