北極星
道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら
石黒誠(富良野・写真家)*写真の授業をする
日高管内日高町に定時制の日高高校がある。生徒は夜に数学や体育などの教科を学び、昼に町の教育委員会が主催する「日高町産業学習」を受講して、3年で卒業する。その産業学習の一つに「写真探求クラス」という選択肢があり、講師として年間15回ほど授業をさせていただいている。
今の授業につながる取り組みが始まったのは、10年ほど前になる。写真の技術や歴史の本、写真集は無数にあれど、高校生に何を伝え、写真というメディアを使ってどう成長してほしいのか―。生徒と一緒に走りながら悩み、考えてきた感が強い。
授業ではまず、基本の型のようなものをやる。望遠レンズで花を撮れば背景がぼけて花が浮き立つ。逆光は印象的。プラスの露出補正で新緑や雪が見た目に近い明るさに写るなど。ただ、これもやりすぎると生徒の大あくびを見るし、技術論も切りがない。
彼らの気持ちに、まず灯をともすのが大切だと思うようになった。コマ撮り動画を作りながら、三脚の使い方とマニュアル露出をした。暗い室内で発光ダイオード(LED)ライトの軌跡を写し、長時間露光を学んだ。ノリノリの音楽をかけながら。これは盛り上がった。授業のレジュメを準備しながら度々思う。一番成長させてもらっているのはたぶん私だ。
(2021年9月27日掲載)
※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。