北極星
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桑原隆太郎(名寄・文化団体事務局長)*大谷選手に感謝
3年前の5月の本欄に「大谷選手の活躍」と題して寄稿した。米大リーグに行ったことで間違いなく大谷は変わった。それは単なる進化・成長とは別次元の一野球選手の変貌ドラマに思えた。
その後、投手生命にかかわる肘の大手術を克服した大谷。リハビリ期間中の肉体改造を経た身体の強さが際立つ。同時に精神的なタフさも増した。
3年前は大谷のすごさの本質について、あのイチローが指摘した「対応力」の非凡さに思い至った。そして今の大谷には、ホームランの量産や圧巻の奪三振を可能にする「人間力」の大きさが見て取れる。投打でほぼ全試合に出場して不振のチームに貢献。それを自然体でこなす雄姿を形容する言葉として、僕は「気は優しくて力持ち」の形容を思い浮かべる。
並外れた野球技術や身体能力にとどまらない、いわば全人格的な魅力、丸ごとの野球選手的存在に魅せられる。ヒットやホームランが出なくても、勝利投手にならなくても、ただただ大谷が打って投げて走って守る一挙手一投足が見ていてうれしい。バッターボックス内やマウンド上だけでなく、塁上での振る舞いや同僚そして相手選手とのコミュニケーションを通しての、野球へのリスペクト(無条件の敬意)ぶりが尊い。
日々、大谷に感謝だ。
(2021年6月7日掲載)
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