北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


「駅そば音威子府」店主 竹本修さん(67)

伝統の味再現 新メニューも好評*黒い麺 村の大事な文化

【音威子府】JR音威子府駅構内で、黒い麺が特徴の音威子府そばを提供する「駅そば音威子府」が、昨年7月4日の営業開始から1年を迎えた。同駅ではそば店「常盤軒」が旅人らに提供していたが、2021年に惜しまれながら閉店。村が駅舎を使って活性化を図るチャレンジショップ制度に応募し、開業した店主竹本修さん(67)に、そばと文化継承にかける思いを聞いた。

 

 ―21年に美深町から村に移住したそうですね。
 「函館市の建設会社で30年勤めた後、中川町や美深町で特産品開発などを手がける仕事に就きました。そこで音威子府村でゲストハウスを営む人と知り合い、『一緒に運営しないか』と誘われたのがきっかけです」

 

 ―ゲストハウスの食堂で、音威子府そばの提供を始めました。
 「23年からです。22年に音威子府そばを製造していた畠山製麺が閉鎖し、ゲストハウスの客から『また食べたい』とよく聞いていました。音威子府そばを再現しようと動いていた関東の飲食店の麺の試作品をゲストハウスの客に食べてもらい、畠山製麺の麺の味や食感を飲食店にフィードバックするなどし、完成したそばを出すようになりました。麺は千葉県の製麺所から仕入れています」

 

 ―村のチャレンジショップ制度に応募して開業したのはなぜですか。
 「ゲストハウスでそばが好評だったので、もっと多くの人に食べてもらいたいと思いました。音威子府そばといえば駅そばなので、村が貸し出すと知り、鉄道ファンや旅人に喜んでもらいたいという気持ちと使命感がありました」

 

 ―オープンから1年。現在も営業日(金、土、日、月曜)は行列ができるほどの人気です。
 「昔を懐かしむ人や鉄道好きな大学生、社会人など、全国からさまざまな人たちがそばを目的に村に来ています。先人がつくり上げた文化のおかげであり、本当にすごいと思っています」

 

 ―今年から始めた新メニューもありますね。
「最近は大きな『たまふ』をのせたオリジナルそば『ねっぷそば』が一番人気です。畠山製麺時代とは違う場所で違う人が麺をつくり、調理しているので、全く同じものは出せないと思っています。だからこそ、みんなに親しまれる新しい音威子府そばをつくろうという気持ちでいます」

 

 ―今後の目標は。
「音威子府そばは村の大事な文化であり、絶対に絶やしてはいけません。いずれは他の人に継いで、ずっと続いてほしいと思います」(聞き手・丸橋芽久)

 

*取材後記

 地域の大切な店や文化であっても、後継者がいなかったり、「自分の代限りでたたみたい」と後継を望まなかったりして、消えてしまうことは少なくない。音威子府そばは、別れを惜しむ人たちにより、新たに生まれ変わり、村の観光を支えている。竹本さんの「伝統を守りつつ、新しいものをつくる」という発想が地方の文化を守るヒントになりそうだ。

 

 たけもと・おさむ 1959年、函館市生まれ。中川町の会社でエゾシカの皮の加工、美深振興公社(美深町)でチョウザメを使った特産品開発を手がけた。2021年に音威子府村に移住し、「ゲストハウスイケレ」を経営する。25年7月、村が安価で貸し出すチャレンジショップ制度を利用して「駅そば音威子府」を始め、今年3月に村が公募した本年度の運営事業者に決まった。

(2026年07月06日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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