どうほく談話室
旗振り役の糸魚小校長 藤田泰昭さん(55)
クラブ活動 士別の専門家を講師に*地域支える大人と関わる場を
授業の一環である小学校のクラブ活動の講師を地域の人たちにお願いする取り組みが、士別市内で行われている。少子化対策や教員の負担軽減に向けて中学校の部活動を民間団体に委ねる「地域展開」(地域移行)とは意味合いが異なるという。狙いは何か。旗振り役の糸魚小校長、藤田泰昭さん(55)を訪ねた。
―クラブ活動の指導に、地域の人に加わってもらったと聞きました。
「3月まで校長を務めた士別南小で昨年度から始めました。小学校のクラブ活動は4~6年生を対象に、学年や学級の違いを超えて1年間取り組みます。通常は教員が指導しますが、地域を見渡すとさまざまな専門家が活動しています。マジシャンやカメラマンに講師を務めてもらうことで、『マジック』や『動画編集』など、教員では指導が難しい活動を子どもたちが体験できました。4月に着任した糸魚小でも準備中です」
―専門家の力で活動を充実させたのですね。
「それもそうですが、身近にいる『かっこいい大人』に出会う機会を作りたかったのです」
―かっこいい大人とは。
「いろいろな技術を持っていたり、ある目標のためにがんばっていたり、子どもが『こんな人になりたい』と思える大人です。Uターンした20~30代の人たちに『なぜ帰ってきたのか』と尋ねると、皆、口をそろえてこう話すんです。『小中学生のころ、いろいろなことを教えてくれた大人がいた。人生の岐路に立ったとき、その人の顔が思い浮かんだ』とね。でも、今の子どもたちはこうした大人に会う機会が減っているのです」
―なぜ、昔より減ったのでしょうか。
「誰かに聞かなくても、ネットで調べたら答えが見つかります。保護者と先生以外の大人とほとんど関わりがない子どもも少なくありません。他人とつながることに大きなメリットを見いだせないのかもしれません」
―さまざまな人との関わりが大切だ、と。
「Uターンした人たちは、それぞれの立場や方法で士別を盛り上げようと頑張っています。もちろんクラブ活動の講師もお願いしました。直接会えば、価値観も失敗談も自分の耳で聞くことができます。子どもたちも、そんな出会いを通して士別に関心を持ち続け、いつか地域を支える大人に成長してほしいと思います」
(聞き手・東桜子)
■取材後記
取材の先々で、藤田さんの姿を見かける。おやこ劇場では子どもたちと一緒に笑い、移住定住促進協議会では大人たちと地域の未来を語り合う。
地域の集まりにまめに顔を出すことで、多くの出会いと学びがあるという。「『どこにでもいるよね』と言われることが、何よりうれしい」と話す藤田さんも、教え子たちにとって「かっこいい大人」なのだと思う。
ふじた・やすあき 士別市出身。北海道教育大旭川校卒。小学校教員を13年務めた後、北海道や士別市の教育委員会で地域が一体となった学校づくりに携わる。校長3校目の糸魚小では来年度の義務教育学校開校に向け準備を進めている。
(2026年5月18日掲載)
※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


