どうほく談話室
「緑の森CAPP」責任者 保久留美子さん(61)

アニマルセラピーを実践、しつけ指導*心癒やす犬 彼らの心身も守る
高齢者や闘病中の人などが犬と触れ合い心身を癒やすアニマルセラピーに、旭川市を主な拠点とするボランティア団体「緑の森CAPPチーム」が取り組んでいる。チームは日本動物病院協会(東京、JAHA)が推進するセラピー手法「CAPP」を北海道内で唯一実践する。責任者で犬のしつけインストラクター保久留美子さん(61)に、人と犬たちとのかかわりについて聞いた。
―しつけ指導にかかわった経緯は。
「犬のしつけや運動に追われ、『育犬ノイローゼ』になったことがあり、しつけについて学びました。2003年、旭川の緑の森どうぶつ病院が犬のしつけ方教室を始める際、指導役にならないかと打診があり引き受けました。あわせてJAHAのしつけインストラクター資格のため東京などへ通い、7年かけて取得者となりました。自分と同じような悩みを抱える飼い主に寄り添いたいとの思いでした」
―アニマルセラピーに取り組んだのは?
「高齢者や病気の人が穏やかな犬たちに接すると、心が落ち着くことが知られるようになりました。緑の森どうぶつ病院もCAPPを取り入れ、社会貢献することになりました。チームは08年に発足し、セラピー犬のトレーニングと、訪問先施設探しが始まりました」
―セラピーを受けると、どのような変化があるのでしょう。
「これまで病院や高齢者施設などに延べ約50回訪問しましたが、動物と触れ合った人たちは、心が和らぎ、穏やかな表情を見せてくれます。子どもたちの場合は心拍が落ち着き、高齢者の場合はストレスを緩和するホルモン『オキシトシン』が増えるという研究結果も示されています」
―セラピーに向く犬とそうでない犬がいるようですね。
「陽気であっても興奮しすぎるなど適性として向いていないワンちゃんもいます。私が犬だったら、見知らぬ場所で知らない人の膝の上に乗せられるとストレスを感じるかもしれません。最終的にはトレーニングを積んで、犬も飼い主『ハンドラー』も、人との触れ合いが楽しめるようになってからセラピーの現場に臨みます」
―アニマルセラピーの今後は。
「『主観的な癒やし』にとどまらず、科学的根拠に基づく専門的な活動であるという認識を広めることが大事です。同時に、パートナーである動物の『福祉』が守られながら、セラピーがより良い地域コミュニティーづくりにつながるようにしたいと考えています」(聞き手・弓場敬夫)
*取材後記 旭川市内の特別養護老人ホームで行われた緑の森CAPPチームによるアニマルセラピーと、セラピー犬と飼い主の訓練の現場をのぞいた。大型のゴールデンレトリーバーから、小型のチワワまで、セラピー犬はいずれも見知らぬ人に自ら近寄り、触れられることを嫌がらない。
高齢者らセラピー犬と接する人だけでなく、見ているこちらも心が癒やされることを実感した。
やすひさ・るみこ 東京生まれ。結婚後、東京で1996年にアイリッシュセッターを飼い始めた。99年に美瑛町へ移住。2003年から旭川市の緑の森どうぶつ病院で犬のしつけ指導にあたり、08年からアニマルセラピーに関わる。自宅で犬1頭、猫3匹を飼っている。
(2026年5月4日掲載)
※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


