北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


ペンギン散歩*早足、雪山滑り…種類で個性


 旭川市内にも小雪が舞い、いよいよ長い冬に突入した。旭山動物園で冬期間恒例の行事といえば「ペンギンの散歩」だ。同動物園では1999年にキングペンギン2羽を初めて迎え入れた。その2羽を園内で連れて歩いたのが「原点」。翌2000年に園内に「ぺんぎん館」がオープンし、現在は4種類のペンギンを飼育している。ただ、どのペンギンも一様に散歩に興じるのではないという。

 とりわけ散歩に積極的なのがキングペンギン。南太平洋、インド洋などの南極寄りを生息地とするが、飼育担当の田中千春さん(50)によると「キングペンギンの生息域の気温は平均0度前後。秋まではよく泳ぐが、冬になると泳ぎが減る」のだそう。冬も盛んに泳ぐ他のペンギンに比べ、運動不足になりがちだった。

 本格的に散歩を導入した02年以降、コースは試行錯誤してきた。現在は、かば館、きりん舎前を通り、イベントホールの先を折り返す全長約500メートル。30分ほどキングペンギンは群れで固まってのんびり移動する。

 散歩を取り入れて目に見える変化も起きた。以前は、キングペンギンがぺんぎん館の岩場で滑るなどして、脚をひねったり、くじいたりすることが散見されたという。しかし「(散歩を始めた)02年以降、ぱったりなくなった」(田中さん)のだ。散歩の効果として「筋肉がつき、体幹が鍛えられ、気晴らしにもなっている」と田中さんは話す。

 散歩には4種類のうち、ジェンツーペンギンも時折参加する。ジェンツーペンギンは足早に飛び出して遊び、キングペンギンほど密集せず、個体は見える範囲の距離で間隔を空ける。また純粋な園内散歩ではないが、ぺんぎん館と高さ2・5メートルの橋でつながり、雪山が設けられた「トボガン広場」の使い方にも種類で個性が出る。ジェンツーペンギンは真っ先に行き、雪山を歩いたり滑ったり。キングペンギンは頻度が少ない。イワトビペンギンはというと、広場まで渡らず、橋の上で俯瞰(ふかん)するようにたたずむのだという。

 散歩の環境が整うのは、しっかりと積雪があり、根雪となってから。雪上にコースの線を引いて、安全に誘導できるようになるからだ。例年の開始時期は12月中旬。田中さんは「散歩は種類によって性格が出る。それぞれのペンギンに関心を持ってもらい、覚えてほしい」と準備している。(桜井則彦)
 
【写真説明】雪の積もった園内を散歩するペンギンたち=2022年12月16日(宮永春希撮影)
(2023年11月20日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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