北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*道北の夏、焼尻の夏

 「本州と変わらないですね」「札幌の方が涼しかったよ」―。今夏、焼尻島を訪れたお客さんは一様にそう言っていた。

 はっきり覚えているのは、移住した2014年ごろは夏もそれほど暑いと思わなかったことだ。むしろ朝晩はなんと涼しいことか。さすが北海道、さすが道北地方。関西で育った僕はしみじみと感動したものだ。

 そんな道北地方も、ここ数年は酷暑が続いている印象だ。宿屋としても対応すべく、薄手の肌掛け布団、ベッドに備え付ける小型の扇風機を取り入れた。お客さんの反応を見ても、今のところ不足はなさそうだ。

 しかし、チェックイン前の掃除、ベッドメークはなかなかに耐えがたい。保冷剤やネッククーラーを肌身につけながら、それでも噴き出る汗をタオルやシャツで拭う日々。翌日の予想最高気温を見て、ため息をつく夜が続いた。

 こうなると次なる検討事項は冷房を導入するかどうか。正直なところ、僕が持つ「ザ・北海道」のイメージにおいて冷房は必要ない。本州の人間の勝手な論理だが、そんな北海道であってほしい。だが今後、異常気象が恒常化するなら無視できない。

 島の人から「お盆過ぎたら一気に涼しくなるよ」と教わったのも今は昔。今年は9月上旬まで暑かったが、来年は果たして…。

(2023年11月6日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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