北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


ニホンザルの赤ちゃん*5年ぶり誕生 成長に期待


 旭山動物園の「さる山」には80匹のニホンザルがいます。このうち6匹が今年4月から6月に生まれた赤ちゃん。5年ぶりの誕生でした。

 旭山動物園ではニホンザルの数が多く、6年前から繁殖を制限してきました。さる山の面積(屋外の放飼場と屋内の寝室の合計)に対して多すぎ、数を減らすのが目的でした。

 増えたら他の動物園へ移せば?と思うかもしれませんが、群れで生活するニホンザルは簡単にはいきません。既存の群れに、別の群れの数匹のニホンザルを混ぜることは大変なリスクを伴います。なので、一つの動物園で群れを形成するときは1歳前後の若いサル数匹を3~4の動物園から集めて群れを形成します。ですので、増えたからといって数匹だけ他園へ移すわけにはいかないのです。

 では、なぜ今年は繁殖したのか? 実のところ今年も生まれない予定でした。昨秋、繁殖可能な年齢になる雄が3匹いたのですが、全ての雄へ不妊手術をしてしまうと、これから先、いざ繁殖させようとした際にできなくなってしまいます。と言って先ほどの理由から、他から新しい雄を簡単に入れることはできません。結果、雄3匹のうち1匹に手術を施し、2匹を残すことにしました。そして残した2匹は薬で繁殖を抑えるという試みを行いました。

 ニホンザルの発情は秋。この時期に合わせて処置を行いましたが、薬の効き目が出るまでに1、2カ月かかってしまい、その間に妊娠してしまいました。結果、6匹が生まれました。繁殖制限「失敗」と言ってしまえばそうですが、まだ許容範囲内の数だと思っています。

 群れの中に赤ちゃんザルがいることで良い点もあります。若い個体(子育てをしたことも見たことも無い個体)にとってはいいタイミングで子育てを学習できます。また、群れの中で助け合って子育てする姿を見られることも良かったです。ぜひ、群れの中で成長する赤ちゃんザルを見に来てください。
(ニホンザル・ニホンイノシシ担当 畠山淳)
 
【写真説明】今年生まれたニホンザルの赤ちゃんと母親
(2023年7月3日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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