北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


桑原隆太郎(名寄・文化団体事務局長)*合併から17年

 2006年3月に旧名寄市と旧風連町の対等合併で新名寄市が誕生してから17年が経過した。先日、旧風連町役場職員時代の先輩と懇談したところ、「風連地区の衰退」を口にし、「一体、対等合併って何だったのか」と憤った。

 「衰退」を可視化するものの一つは人口だろう。合併前年の05年から今年3月までの人口減少率は名寄地区の16・5%に対し、風連地区は33・3%。過疎化はやはり風連地区で顕著だ。ただ、年間平均減少者数は100人弱で合併前とあまり変わらない。「衰退」の様相は単純ではない。

 「対等合併」に関しては、風連地区出身の私自身も最初から複雑な思いがある。なぜ合併後の新市の名称が旧市と同じなのか。元の名前のままなら、旧名寄市民の意識では旧市と新市は切れ目なしに都合良く連続していくのだから仕方ないことだ。「名は体を表す」というではないか。正直、「新市の名前を名寄市とすべきではなかった」と今でも思う。「新しい酒は新しい革袋」こそふさわしい。私のこだわりは消えない。

 とはいえ、議論を蒸し返すのが本意ではない。大事なのは対等合併の実を挙げることだ。今の私がしなければならないことは名寄市民であることを自覚しつつ、この地域がずっと活気あるように頑張ることだ。前を向いて歩いていきたい。
 
(2023年5月29日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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