北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


石川千賀男(旭川・公益財団法人理事長)*人と水の関わり

 2年ほど前から茶道を学んでいる。水を敬い、尊び、凜(りん)として、人の心をもてなす素晴らしい作法を備える。しかも奥が深い。

 たかが水、されど水、水はとてもすてきな要素を持っている。丸い器に入れれば丸く、四角い器に入れれば四角くなる。万物に恩恵を与えながら少しも自慢することなく常に低いところにある。その在り方は、極めて柔軟で、謙虚だ。それでいて、硬い岩をも打ち砕く強い力を秘める。一見、主体性がないように見えるが、その実、常に低いところへ流れようと強固な主体性を秘め、何もなしてないように見えながら万物に大きな恩恵を与えている。

 温めれば、お湯となり、水蒸気となる。冷やせば硬い氷となり、その姿は臨機応変、自由自在で、あらゆるものに対応できる。一滴のしずくは透明感のある輝きを生み、一気に降り注ぐ雨は、小さな流れを生み出し、小川となり、さらさらと音を奏でるメロディーとなり、ほとばしる滝となる。それらが集まる大河は悠々と海へと注ぐ。

 私たちが住む旭川市は主に大雪山系から流れる162本の川に恵まれている。自然の恩恵を受けた素晴らしい水の都。そして人間は生まれた時から水につかり、身体の6割は水分でできている。この水との切っても切れない「大縁」を大切にして生きていきたい。
 
(2023年3月6日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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