北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


レッサーパンダの双子*「種の保存」に向け繁殖


 冬、昨年7月に生まれたレッサーパンダの双子の赤ちゃん「菫菫」(ジンジン、雄)と「茜茜」(チェンチェン、雌)が元気にじゃれ合う。野生下では主に中国やインドなど標高3千メートルほどの森林に暮らしているため、寒さはへっちゃらだ。

 母の「渝渝」(ユーユー)とくっついて眠ると団子のよう。体の大きさは親子3頭とも同じに見えるが、体重は母が約5キロ、双子は約3キロ。全身を覆うふわふわの毛が大きく見せる。

 菫菫は身体能力が高い。生後4カ月ごろから、木の枝に後ろ足を引っかけてぶら下がることができたという。逆さまの姿勢は、野生下で竹や木の実を食べる時に見せる姿だ。餌の時間は菫菫がぶら下がり、枝につり下げられた竹やリンゴが入った玩具のボールを揺らして食べる。その下には渝渝と茜茜が待ち構え、おこぼれをほおばる。

 竹を食べるため、強いあごや鋭い爪を持ち、人にけがを負わせることも。飼育員の鈴木達也さん(30)は「見た目で『かわいい』と言われがちだが、いろんな目線で観察してもらいたい」と、動物本来の生態を見せる「行動展示」に力を入れる。

 双子はまだ、放飼場のつり橋を渡ったことがない。つり橋から落下したり、カラスに襲われたりする危険があり、隣のスペースにいる。4月の休園期間中に慣れさせてから、夏期開園の展示に備える予定だ。

 動物園で人気者のレッサーパンダ。国際的な絶滅危惧種に指定されており、野生の推定生息数は約2500~1万匹。鈴木さんによると、日本の動物園にいるのは中国四川省など原産のシセンレッサーパンダが大半で、世界的にみても飼育下の個体の4分の3は日本にいる。一方、ネパール原産のネパールレッサーパンダは温度変化や病気に弱いといい、輸入例は少ない。

 旭山動物園では、双子の父プーアルと兄、姉を含めた6匹を飼育する。プーアルも母の渝渝も中国生まれの両親から生まれた純中国血統で、日本国内では希少なペア。「種の保存」に向け、積極的な繁殖が求められている。(鳥潟かれん)

 
【写真説明】肩を寄せ合って昼寝をし、来園者の視線を集めるレッサーパンダの親子(西野正史撮影)
(2023年3月6日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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