北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


柴田えみ子(旭川・尊厳死協会道支部理事)*ふたり一緒

 「元気だけが取りえ」と豪語していた私だが、昨年暮れに脳梗塞を発症した。原因は加齢とストレスによるもの。ストレス? 思い当たる節はないが、疲れていたのかも。実は私の入院前、夫が脳出血で倒れて3カ月間入院していたのだ。その間、私は畑の収穫やビニールハウスの片づけなどをバタバタとやっていた。

 「夫の留守を守らなくちゃ」と力んでいたが、疲労は感じなかった。だが、75歳の身体は老化現象を起こしていたようだ。そういえば、ここ数年、小さな不調はあった。健康を過信していたことを猛省した。

 入院生活も初めは立てない、歩けないの状況にうろたえたが、持ち前の好奇心でこの状態からどういう経過をたどるのか興味が湧いた。ベッドで起き上がることから始まり、座る、立つ、歩く、と順にできるようになるまでリハビリに明け暮れた。何もつかまらず、5歩歩けた時の感動は一生涯忘れられそうにない。

 コロナ禍で家族と会えず、孤独な闘いだったが、予想よりずっと早く退院できた。夫は右側、私は左側の罹患(りかん)なので、これからは今まで以上に助け合わねばならぬ。夫とリハビリに励み、生活スタイルの改善にも取り組んでいる。そういう意味では、2人一緒に病を得たことが何だかありがたくさえ感じる。さて、新しい生活に突入だ。

(2023年2月6日掲載)
 

 

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