北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


ホルスフィールドリクガメ*頑丈な爪 穴掘り得意


 短い手足を少しずつ動かしたかと思うと、ぴたりと止まる。子ども牧場で飼育されているホルスフィールドリクガメは、全ての動きがゆっくりだ。餌はチンゲンサイや小松菜、ニンジン、その辺の雑草も食べる。食事の時、乾いた土色の長さ30センチ近い甲羅から首を長く伸ばして身を乗り出し、口を90度ほどに開き、かぶりつく。首を縮めながら、餌を手で押さえつけ、バリバリと食いちぎる。

 このリクガメは乾燥地帯のイランやアフガニスタンなど中央アジアを中心に生息する。「ヨツユビリクガメ」とも呼ばれ、よく見ると手足に頑丈な4本の爪が見える。穴を掘るのが得意で、野生下では掘った穴の中で冬眠する。夏季開園では屋外に設けた柵の中に放しており、地面を掘り過ぎて柵の外に出そうになったこともあるという。

 飼育員の佐賀真一さん(42)は「なぜか来園者に人気で、『カメはいないんですか』と聞かれる。独特の動きをするからなのだろうか」と首をかしげる。

 寒さは苦手で、冬季は屋内にいる。冬季の展示はなかったが、今冬から市民の要望を受けて始めた。ウサギやモルモットのいる屋内に柵を設け、赤外線ライトで20度ほどの室温を保つほか、リクガメが日光浴できる屋外環境に近づけるため紫外線ライトも取り付ける。カメたちはライトの下で暖を取り、マイペースに過ごしている。

 子ども牧場にいるのは4匹。かめさん(雌)とトロ(雌)、ペーター(雌)、ハイジ(雄)という3グループに分けられ、交代で展示。かめさんは体重1・6キロと最も大きいが、「今でも身体が大きくなり続けている」と飼育担当の佐賀さんも苦笑いする。4匹の年齢は20~40歳以上とみられるが、かめさんは最古参で「1986年に坂東元(げん)園長が入園した時には既に飼育されていた」との証言もある。

 佐賀さんは、彼らが野生下で過ごす環境を再現しようと、岩場を設けることも考えている。「子どもたちもじっくり見てくれている。展示する時間を増やして、いろんな発見をしてもらいたい」(鳥潟かれん) 
 
【写真説明】赤外線ライトの下で温まるトロ(手前)とかめさん(西野正史撮影)
(2023年2月6日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP