北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*長めの帰省

 早いもので焼尻島に移住して9年目を迎えたが、ここ数年、冬は島を離れることにしている。理由はいろいろあるが、一番は実家の家族と過ごす時間を多く取りたいと思うようになったからだ。

 島暮らしを始めた当初は27歳。当時はそれなりに血の気も多く、「島でゲストハウスを開いてみたい」という好奇心が原動力だった。実家へは、年に1度10日間ほど帰省する程度だったが、北海道の離島から兵庫県への大移動。帰っても、ざっと用事をこなせば、また島に戻っていた。

 年に1度の帰省を何度か繰り返して気付いたのは、両親とばーちゃんが確実に年齢を重ねていることだった。帰るたびに「あれ、こんなに白髪だったっけ?」「なんだか随分小さくなった?」なんて、嫌でも思ってしまうのだ。これが何とも心苦しい。ばーちゃんは、僕が帰省するたび「いつになったら島から引き上げるの?」と聞いてくる。冗談ぽく言うが、本音でもあるだろう。元気とはいえ、90歳手前だ。10日程度の帰省じゃとても足りない。

 ある日、家族でテレビを見ていると、北海道が豪雪とのニュース。「こんな雪信じられへん」とオカンが震え、「おまえの家つぶれてるんちゃうか」とオトンが笑い、「あんたも雪の降らん地域のほうがええやろ」とばーちゃんがあおってくる。まったくもう!

 今月末、島に戻ります

 

(2022年2月21日掲載)

 

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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