北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


石川千賀男(旭川・公益財団法人理事長)*真のボランティア活動

 コロナ禍で接客や会合が少なくなり、早朝に1時間半ほど、自転車で旭川市内の河川敷を走っている。おかげで新しい発見があった。旭西橋付近の歩道や河川敷、サイクリングロードに、ごみが一つも落ちていない。なぜこんなにきれいなのだろうか。目を凝らすと、まだ薄暗い中、ごみ袋と火ばさみを持って黙々と、精力的にごみを拾う60代の男性を見かけた。

 「おはようございます」と声をかけると、気持ちのいいあいさつが返ってきた。「町内会などで、おやりになっているのですか」と尋ねると「一個人で、自分の健康のためにやっているのですよ」と、とても爽やかな笑顔。なんと素晴らしい。真のボランティア活動とはこういう人のことを言うのだろう。本当に頭が下がる思いだった。

 さらにその後、気をつけて走っていると、北門町や旭町で、町内のごみを毎朝のように拾ったり、竹ほうきで清掃していたりする人々が、大勢いらっしゃることに気づいた。

 ボランティアとは「させていただくことに尽きる」「どんな対価も求めない」ものとされるが、そんなに簡単にできるものではない。その人の人格や善意に、誰もが感謝してこそ報われるものだろう。本当に感謝の気持ちがあるのであれば、無造作にごみを捨てないでほしい。

(2021年5月24日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP