北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


桑原隆太郎(名寄・文化団体事務局長)*フーレンのクマ

 南極観測第1次越冬隊に置き去りにされたカラフト犬、タロとジロの「奇跡の生存」が確認されてから61年。そのタロ・ジロの父親が、同じ越冬犬で、映画「南極物語」で強烈な印象を残した「フーレンのクマ」なのはご存じだろうか。

 旧風連町で社会教育の仕事をしていた時、わが郷土の誇りであるクマのことを調べた際に、関係資料に「名寄の少し南にある風連町の出身。『タロ』『ジロ』の父親」とクマを紹介した記述を見つけ驚いた。初耳だったから、地元の意地として事実関係を調査した結果、「クマ=タロ・ジロの父親」との文献的な認定にたどりつくことができた。

 ただ、「南極第一次越冬隊とカラフト犬」の著者で、実際に越冬犬と苦楽を共にした北村泰一さん(九州大学教授=当時)に連絡をとった際、「初めて聞く話。少なくともわれわれ隊員の間で話題になったことはない」と伺ったことが、ずっと気になっていた。

 そして今年、その北村さんが監修した新刊本「その犬の名を誰も知らない」を読んだ。「タロは、ジロ、サブロと一緒に生まれた三兄弟だ。父親は北海道上川郡風連町出身の風連のクマ」との一節があった。北村さんの認識が変わった経緯は知る由もないが、私には朗報である。郷土の誇りたる「フーレンのクマ」、あらためて万歳である。

(2020年12月7日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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