北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


森川理加子(士別・演劇集団主宰)*旬の「雑草」

 家庭菜園のトマトやキュウリが実りだすと、父の血圧が目に見えて下がる。カリウム豊富な野菜をおなかいっぱい食べるのが良いのか。山菜の時期は毎食ウドを食べて、やはり血圧が低い値で安定していた。旬のものをどんどん食べて健康になれるなら、こんな良いことはない。
 旬といえばスベリヒユをはじめとする菜園の雑草も今を盛りとぐんぐん育ってきている。むしってもむしっても雨が降ればゾンビのように生き返る、にっくきスベリヒユではあるが、山形では立派な食材で、なんとスーパーの店頭に並ぶほどだという。なんというカルチャーショック。所変われば品変わる、とは言うが、さすがにずっと雑草と認識していたものを食べる気にはなかなかなれない。
 だが、スベリヒユは高品質なオメガ3脂肪酸を含むスーパーフードだと聞けば、健康オタクとしては黙っていられない。よし、今年は立派に育て、ごまあえかなにかにして食べるぞ!と成長を見守ることにした。
 べつに草取りをサボっているわけではない。栽培しているのだ。かつて、こんなに雑草がかわいく見えたことがあっただろうか。
 その他の雑草も、ひょっとしたら何か薬効のある食材に変わるかもしれないと思うと安易に除草してよいものか悩むところだ。決して草取りをサボっている言い訳ではない…つもりだ。

(2020年8月3日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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