北極星
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藤沢隆史(礼文町教委主任学芸員)*宗谷を支える海のみち
宗谷地方は、宗谷海峡、日本海、オホーツク海と3方を海に囲まれた地域であり、海を隔てて道央・道南・道東と密接な関係にありました。近代には、宗谷海峡を越えて樺太(サハリン)とも関係を持つこととなりますが、こうした関係は、海のみち、すなわち海路があったからこそ持てたと言えるでしょう。
近代の北海道開拓が沿岸地域や離島から進んでいったのも海路のおかげであり、宗谷地方にとって他の地域以上に海路の存在が大きく、現在でも陸路と並んで我々の暮らしを支える重要な基盤となっています。
また、海路には船舶の安全航行にとって必要不可欠なものがあります。それが、港と灯台です。港は、かつては泊(とまり)・湊(みなと)とも呼ばれた天然の入り江や河川の河口から発展し、海運の発達とともに防波堤や岸壁などが整備されてきました。
一方、灯台は紀元前の古代エジプトに起源を持つと言われ、江戸時代には石積み台の上に小屋を建てた日本式の灯台が100基以上あったようですが、西洋式灯台の導入とともに急速に姿を消していきました。
現在、宗谷管内で学芸員がいる教育委員会では、こうした海路、港、西洋式灯台をテーマとした令和2年度巡回展の準備を進めています。各地で工夫を凝らした内容となる予定です。ぜひ観覧ください。
(2000年3月29日掲載)
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