北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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みんなの放課後

「放課後」とは、勉強や仕事などの本業以外に過ごす時間のこと。 スポーツや文化活動など夢中になれる“何か”に真剣に打ち込んでいるチームや団体の皆さんを、ジャンルや老若男女を問わず紹介していきます。


vol.69 受け継がれる美しい射形を、次の世代へ・・・「旭川藤星高校弓道部」

 

みんなの放課後

凛とした立ち居振る舞いで己と向き合い、静寂の中28m先の的を射る弓道。近年では弓道を題材にしたマンガが連載されたりアニメが放送されたりと、若年層が弓道に触れる機会が増えています。今回は「旭川藤星高校弓道部」を訪ね、活動風景をのぞいてみました。

 

 

黒岳で今シーズンの初冠雪を記録した、その翌日。花咲スポーツ公園内の弓道場「誠心館」では、震えるような寒さの中、力強く弓を引き続ける部員たちの姿がありました。「藤女子時代から射形(弓を引く一連の動きや姿勢)が綺麗だと言われています。これを代々受け継ぎ、理想の姿を目指しているのがこの部の特長ですね」と語るのは旭川藤星高校弓道部顧問の佐藤大祐先生です。

 

 

藤女子高校は今年の春から共学の旭川藤星高校へと変わり、現在は2年生1人、1年生は男子部員4人と留学生1人を含む17人の計18人で活動しています。部員のほとんどが、高校から弓道を始めるためスタートは皆一緒。同じ3年間でどれだけ上達するかは、時間の使い方や意識の持ち方がカギとなります。

 

 

弓道には級位・段位があり、審査会では射場に入る姿から着付け姿、歩き方、射形、全てにチェックが入るため、普段の練習から意識することが大事です。立派な所作であれば、的を外しても良い級位や段位が貰えるのが弓道の世界。我流や技術だけでは評価されないのです。「部として目指す姿と、審査会で重要視する部分が近いので、迷いなく成長できていると思います」と佐藤先生。共学になり、伝統に変革が加わった弓道部が美しい射形に磨きをかけて、これからも多くの後輩へ受け継がれることを期待しています。

 

 

 


誠心館だから学べる
礼儀の大切さ

 

技芸講師 教士8段
佐竹 明美さん

私自身本格的に指導するのは初めてで、生徒にはできるだけ平等に声を掛けて、分からない事を気軽に聞いてもらえる雰囲気作りを心掛けています。
また、技術指導以外に、礼儀に関して伝える事が多いです。誠心館は一般の人も利用する道場ですから、たくさんの利用者の中の一人として大事に使い、他の大人に対してしっかりと挨拶するよう指導しています。
そういった意味で社会とつながれる弓道場を使えているので、高校の部活動という枠にとらわれず、大人との接し方を学んで、世代を超えたコミュニケーションを楽しんでもらいたいですね。

 


 

共学化がもたらした影響は

 

今年度から名前を変え共学となった旭川藤星高校。男子部員の入部について、弓道部部長の西股ひかりさんは「弓を引く強さが女子と全然違うので弦の張りの適切な強さが分からず、購入までに時間がかかって大変でした」と話します。

 

 

一方、上級生がフランクに接してくれたので、すんなり馴染むことができたという男子部員たち。
「留学して日本の文化を伝える時に、調べたことを説明するよりも実体験を話したいから」と、入部の理由を語ってくれたのは髙橋亘輝君。

 

 

実際初めて弓を引いた時の感想を菅野貴史君は「それまではずっとゴム弓で、弓道をしている実感が得られなかったのですが、理想の自分に近づけた気がしました」と話します。

 

 

また、「一つひとつの所作を意識するようになり、集中力が上がりました」というのは松原拓斗君。

 

 

田中大陽君は「一般の人も利用する場所なので社交的になり、人として成長できる環境だと思います」と教えてくれました。
男子部員という新たな風が、伝統の弓道部に今後どのような影響を与えるのか注目です。

 

 

 

 

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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