北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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みんなの放課後

「放課後」とは、勉強や仕事などの本業以外に過ごす時間のこと。 スポーツや文化活動など夢中になれる“何か”に真剣に打ち込んでいるチームや団体の皆さんを、ジャンルや老若男女を問わず紹介していきます。


vol.67 きれいな車内で鉄道の魅力アップ・・・「旭川鉄道少年団」

 

みんなの放課後

スポーツ少年団やボーイ・ガールスカウトなど、子どもたちが所属して活動する団体が数ある中で、電車内を主な活動場所とする異色の集まりがあります。特別感をくすぐる制服に身を包み、日々マナーの向上や美化活動に奮闘する「旭川鉄道少年団」を訪ね、活動風景をのぞいてみました。

 

ジリジリと焼き付くような日差しが降り注ぐ日曜日。のどかな田園風景の中を進む富良野・美瑛ノロッコ号に爽やかな風が吹きこんできます。観光客であふれる車内から聞こえてくるのは、「公徳袋です。ゴミを捨てる際にご利用ください」と子どもらしい声。制服に身を包んだ鉄道少年団の団員たちが、乗客に「公徳袋」と呼ばれる半透明の袋を配っています。

 

 

「誰もが気持ちよくJRを利用してもらうためには、乗客の皆さんにも車内の清潔を保つご協力をいただく必要があります。袋を配ることで『きれいにしようとしている中で汚せない』という意識が芽生えてくれればと思います」と話すのは、旭川鉄道少年団の団長、古河勇次さんです。同団で車内実践と呼ぶこの配布活動は、美瑛、上川などの近郊や、特急列車に乗って稚内や網走で行うことも。

 

また、目を引くのが制服です。着用の意図を聞くと、「スポーツ選手がユニホームを着るようなものです。制服を着ることで自分たちの活動を強く意識してもらうのと同時に、周りから見られていると感じて、自覚を持って行動をするためにも重要なアイテムなんですよ」と教えてくれました。その話を実感したのは美瑛駅で下車後のこと。団員がホームに整列し、富良野へ向かう富良野・美瑛ノロッコ号を敬礼で見送ると、乗客が彼らに手を振り返していました。このような触れ合いが、彼らの活動のエネルギーになるんですね。

 

 

 

 


自主性を尊重した
指導をしています

旭川鉄道少年団 団長
古河 勇次さん

元々JRで仕事をしていたことがきっかけで、10年前から鉄道少年団に関わっています。団長として厳しく接して考え方を上から押し付けてしまえば、かえって心が離れていってしまうものです。そのため、子どもたちは私が怒っているところを見たことがないと思います。行動訓練などで指導する時もなるべく自由に、彼らの考えで練習させるようにしていますね。車内実践では、乗客の方や車掌さんから「頑張ってるね」、「アナウンス上手だね」とお褒めの言葉をいただきます。それが彼らの大きな励みになりますので、これからも活動を大事にしたいです。

 


 

車内実践が与える影響と全国キャンプの意義

旭川鉄道少年団は2009年に、道内では札幌に次ぐ2番目の鉄道少年団として発足。現在は小学校4年生から高専7年まで、女子4人を含む20人が在籍しています。この日は中学生以下8人での活動です。リーダーの久保走野さんは「この活動を始めてから、街や教室にゴミが落ちていたら率先して拾うようになりました」と話します。

 

「先程活動中に、兵庫県からいらした方に興味を示してもらえたので、鉄道少年団が全国にあることを伝えました。活動を認められたようでうれしかったです」と語ってくれたのは長尾果乃子さん。

 

この日車内アナウンスをしていた定村美柚さんは、各地の団員が集う全国キャンプに参加するとあって、意気込みを語ってくれました。「車内実践の仕方など、地域でやり方が異なると思うので、それぞれの手法を全国の仲間から教えてもらい、学んだことを後輩に教えていきたいです」(※キャンプは取材後の8/3~7に美瑛で開催)全国キャンプでの経験がどう生かされたのか、今後公徳袋を受け取る時に分かるかもしれませんね。

 

鉄道少年団とは…

社会に奉仕できる人間を育てることを目的とし、公徳心を高めて、鉄道の知識や、集団行動を通じて助け合う心を養う団体です。

活動内容/車内実践、団体行動訓練、清掃・事故防止活動、体験学習、交流キャンプ、

スキー講習会など

住所/旭川市宮下通6丁目1番2号 北海道旅客鉄道株式会社

旭川支社営業企画グループ内 旭川鉄道少年団

お問合せ/0166-24-0640

 

 

 

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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