北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

どうほく談話室


増毛町で飲食店を開業*元地域おこし協力隊員*平野井しずくさん(28)

食材のおいしさ伝えたい

 元増毛町地域おこし協力隊員の平野井しずくさん(28)が、スイーツなどを楽しめる飲食店を5月2日、同町の「ふるさと歴史通り」沿いに開業した。祖父母が営み、主にサクランボを育てる果樹園の後を継ぐことを念頭に、2021年に協力隊員として札幌から増毛に移り住み、農作業を学びながら観光PRなどに携わってきた平野井さん。飲食店にかける思いや増毛の魅力を聞いた。

 

 ―飲食店開業に至った経緯を教えてください。
 「実は飲食店をやろうとは全然考えていなかったんです。農作業で木と向き合う中で、やっぱり人と話す仕事も好きだと実感したのがきっかけでした。増毛に来たころはよく居酒屋に行っていました。お客さんが話しかけてくれて『こういうことで困っている』と言うと、知り合いを紹介してくれました。地域のコミュニティーの濃さ、大事さを飲食店で感じた。だからそういう場所を作りたいと思ったんです」

 

 ―メニューや素材のこだわりは何ですか。
 「『増毛、留萌管内の食材はこんなにおいしい』と伝えたい思いが根底にあります。増毛産のイチゴやサクランボ、桃、プルーン、ブルーベリーはシェイクやクレープのソースに使う予定です。クレープの生地にも留萌産の小麦ルルロッソを使用しています。増毛産タコを使ったタコザンギも好評です」

 

 ―移り住んだきっかけは何だったのですか。
 「私はサクランボが一番好きな食べ物なんです。小さいころから夏休みは増毛に来て、収穫を手伝い、直売所で接客もしました。祖父(三橋弘さん、22年に88歳で死去)が体調を崩し、果樹園を畳むと聞いた時に『寂しい』と思って。そこから教えてもらいました」

 

 ―農作業をやってみてどうでしたか。
 「一番難しいのはマニュアルがあるようでないこと。ある程度決まった手順はありますが、天候や気温に応じて臨機応変さが求められる。今は19歳の弟(弘斗さん)も増毛で農業に汗を流しています。たまに店を手伝ってくれて、頼もしい限りです」

 

 ―今後の目標は何ですか。
 「何でもインターネットで取り寄せられる時代ですが、増毛はレトロで風情がある街並みが魅力で、足を運んでもらいたい。そのきっかけの一つになれたら。増毛は果物、コメを作っていて、海産物も豊かで日本酒の酒蔵もある。すごいことだと思います。その増毛で地域と一緒に成長する店を目指したい。協力隊員時代の人脈を生かし、イベントも手がけていきたいです」(聞き手・折田智之)

 

 ひらのい・しずく 1997年、札幌市生まれ。販売業を経て増毛町の地域おこし協力隊員になり、4年間務めた。観光ツアーや、留萌管内の協力隊員が出店する販売イベントなどを企画した。店の営業は午前10時~午後5時。月曜休み。

 

■取材後記
 店名の「Destin&Goutte」(ディスタングート)はフランス語でそれぞれ「運命」、「しずく」を意味する。後者は名前から、前者は増毛で多くの人に出会い、運命の巡り合わせで開店に至ったと感じた思いを込めたそう。増毛では5月22日に国稀酒造のビアホールが開業した。取材で訪れる度に「元気なマチだな」と感じるが、平野井さんの店も加わり、さらに活気づきそうだ。
(2026年5月25日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP