北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


漢(はた)幸雄(士別・劇場館長)*昼食スイッチ

 自宅が勤務先と近いため帰宅して昼食はとる。冷蔵庫を開け、材料を見てから何を作るかを考える。たいていは手軽なものを作るのだが、例外もある。

 ある日、たまたま衣をつけたままのカツを冷凍庫に見つけてしまうと、カツカレーが食べたくなった。とりあえずカレーを作る傍らで、揚げ物をする羽目になる。カツ丼の方が楽なのになとの思いもよぎるが、頭の中には完成形のカツカレーがおいしそうに描かれていて、いまさらカツ丼に変更はできない。

 揚げたてのカツを切り、さてカレーをよそおうかと炊飯ジャーを開けると、ご飯がない。さすがにご飯はあるものと思っていたが、こんなこともある。昼休みの残り時間はあと20分。麺をゆでる時間もない。キャベツがあったと思いだし、千切りに刻んでご飯の代わりにしてカツを載せ、ルーをかける。見た目だけはカツカレーのよう。

 シャキシャキとしたキャベツはおいしいのだが、違和感はある。3分で食べ終えて、洗い物を済ませて職場へ。ぎりぎりの1時間。

 ちなみに毎日の昼食でこんなことをしているわけではない。時折入ってしまう不思議なスイッチが衝動的に、貴重な昼休みを慌ただしいものにしてしまうのだ。私は悪くない、変なスイッチが私のどこかに付いているのが悪いのだ。

(2022年10月17日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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