北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

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桑原隆太郎(名寄・文化団体事務局長)*「新しい資本主義」に異議

 岸田文雄首相が目玉政策に掲げる「新しい資本主義」なるスローガンに異議申し立てをしたくなった。新自由主義やアベノミクスの修正でしかない「新しさ」を、いきなり資本主義につなげて「新しい資本主義」と大言壮語する、その軽率さとあつかましさにあきれる。

 資本主義は資本主義だ。新しいも古いもない。「新しい資本主義」なる言葉は形容矛盾だ。首相が気の利いたふうの言葉遣いで狙っているのは、資本主義の枠の中で何かしら「資本主義的らしくない」目新しいことをやって耳目を集めることでしかない。

 私に言わせれば、資本主義を巡る問題の立て方は、資本主義の不都合を修正する(新しくする)ことではない。資本主義システムそのものを乗り越えることだ。

 なぜなら、今私たちが直面する危機的状況は、地球規模の気候変動問題しかり、新型コロナ禍しかり、貧困や格差や社会的分断しかり、すべて資本主義がもたらしたものだからだ。諸悪の根源は資本主義にある、と言わねばならない。

 だとしても、そもそも資本主義からの脱却は可能なのか、と自問するとき、話題の書「人新世の『資本論』」にある「脱成長コミュニズム」という著者・斎藤幸平氏の回答に得心がいった。資本主義を乗り越えることは可能だ。希望はある。

 

(2021年11月29日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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