北極星
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谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*費用対効果
この3月末で17年間働いた大学図書館を退職する。専業主婦時代を経て、40代半ばでまた仕事に恵まれ、司書の資格が役立ったことは幸いだった。
短大時代、私の学科では中学校教諭(国語)の免許と図書館司書・司書教諭の資格が取れたので、取れるものは皆取った。当時の授業料は年間8万円くらい。今では考えられないほどお手頃価格だった。結局それらの資格は全て生かすことができたから、費用対効果という面では上出来だ。
私の最後の1年間は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い右往左往する日々だった。緊急事態宣言が出され、学内への立ち入りが禁止になった期間も、図書館だけは本の貸し出し・返却に限って利用が可能だったため、唯一学生が行ける場所として機能した。コロナ禍において一日たりとも臨時休館しなかったのは全国的にもたぶん珍しいだろう。座席の消毒作業に走り回って1年が過ぎた気分だ。
4月からは暇になる。私は縫い物をしたり本を読んだり家の中でできることが好きなたちだから、コロナ禍でも退屈はしない。天気が良ければきれいな景色を見に車で出かけるのもよし。そうそう、車の運転免許は合宿型の教習所に行き、実質わずか2週間ほどで取った。運転歴はもう42年だ。これこそ人生で最も役に立った資格かもしれない。
(2021年3月8日掲載)
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