北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


森川理加子(士別・羊農家)*捨てられない母の着物

 1年ほど前に両親が相次いで亡くなり、遺品整理を始めた。多いのは母の衣類、特にたんすいっぱいの着物だ。洋服は鉄工所の知人にウエス(工業用雑巾)として引き取ってもらったが、和服は別だ。私は大の着物好きで、娘の入学式、新年会など機会があれば着る。美しい絹の着物をいきなり雑巾のように処分できるわけがない。

 母の着物は、私にはやや小さいが、好みのものは残し、20枚ほどをリサイクルショップに持っていった。しかし全部売ってもたったの千円! 二束三文と覚悟はしていたが、安すぎる。

 着物を減らしに行ったはずのショップで、新たに着物を買ってしまった。すてきな着物がTシャツ並みの値段で売られていたのだ。ネットで調べると、今の若者は古い着物をサイズを気にせず着こなしているという。私も小さい母の着物をもっと着ればいい、無理に処分する必要はないと自分に言い聞かせた。

 私は普段、モノに執着せず持ち物は少ない。両親のものを片付け、モノが減ったが、今度は夫と娘のものが増えている。2人とも「もったいない精神」が強く、断捨離は諦めている。

 私も、好きでよく着る着物だけはなかなか減らせない。フリーマーケットのアプリケーション「メルカリ」にも挑戦してみたいが、買う方が多くなってしまったらどうしよう?

(2025年03月03日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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