北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


オオコノハズク 自然繁殖*ひな2羽誕生 愛らしく


 6月中旬、旭山動物園でフクロウの仲間「オオコノハズク」のひな2羽が自然繁殖により3年ぶりに誕生した。親鳥のそばで首をかしげながら来園者をじっと見つめるしぐさが愛らしく、人気を集めている。

 オオコノハズクは東アジアから東南アジア、南アジアにかけて分布。道内では夏鳥として知られ、冬になると本州以南に渡る。国内最小のフクロウという「コノハズク」より体が一回り大きく、虹彩の色が濃いだいだい色であることが特徴だ。

 生後間もないひなは体重100~150グラム。ふわふわとした白い綿のような羽毛が生える。

 猛禽(もうきん)類のため餌は生肉。1日当たりひよこ2羽、ウズラのひな5羽を食べる。2カ月たって親鳥と同じ大きさまで育ち、大人の灰色の羽にほぼ生え替わった。雌雄の違いを見分けるのは難しく、DNA鑑定が頼りだ。

 旭山では、1980年にオオコノハズクの人工繁殖に成功し、81年には自然繁殖でひなが誕生。日本動物園水族館協会(JAZA、東京)から初めて繁殖に成功した施設として「繁殖賞」を贈られている。

 同園では2020年にも人工繁殖で1羽、自然繁殖で1羽生まれており、今回の2羽誕生は3年ぶり。産卵の兆しが見えたのは5月中旬、飼育する4羽のうちペア1組が巣箱から出てこなくなったことに飼育員の大内章広さん(39)が気づいた。

 一般的にフクロウ科は繊細な鳥で、繁殖の難易度も比較的高いとされている。大内さんは慎重に巣箱の中に手を入れ、2個の卵を触って確認。その約1カ月後に2羽がふ化し、「自然繁殖は、日々の飼育がうまくいっている証拠」と喜んだ。

 オオコノハズクは保護されて動物園に預けられるケースがほとんど。現在飼育するJAZA加盟の施設は、道内では旭山と釧路市動物園。旭山では現在もペア1組が巣箱に入り込み、繁殖する姿が確認されている。大内さんは、近親交配の問題を考え「将来的には他園と動物を交換し、新たな血統を取り入れる必要が出てくる」と話す。
(渡辺愛梨)

 
【写真説明】オオコノハズクの親鳥(中央)の左右にいる6月に誕生した2羽。大きさは親鳥とほぼ同じだが、羽に白い綿毛が混じる
(2023年8月21日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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