北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


森川理加子(士別・羊農家)*恐れるもの・恐れられるもの

 春に植え付けた野菜が実るこの時期、頭を悩ませるのが獣害だ。畑作をしていた8年ほど前までは鹿に悩まされた。鹿の牧場かと思うほど畑を闊歩(かっぽ)し、小豆などがやられまくった。その鹿も近年、熊が頻繁に出没するようになってからはあまり見かけなくなった。

 代わりに登場したのがアライグマ。わが家では倉庫に積まれた羊の飼料の袋が次々と破られた。最初は常習犯のネズミを疑ったが、ネズミ捕獲用の粘着シートに残された5本指の特徴的な足跡で真犯人が知れた。

 幸い数年前に講習を受けアライグマを捕獲できる許可を得ている。市役所に相談して箱わなを仕掛けると、立て続けに6頭ものアライグマの捕獲に成功した。

 かわいい見た目に反してどう猛というのは聞いていたが、これほどとは。私をにらんではうなり声を上げ、箱の壁に体当たりしながら動き、近くの網を食いちぎり、大量の排せつ物をまき散らし…。倉庫内は惨憺(さんたん)たるありさまだった。

 排せつ物を片付けながら、鹿などの害獣よけにオオカミの尿が販売されていることを思い出し、消毒せず悪臭をそのままにしておくと、ネズミも寄り付かなくなった。自分より強い者の存在を認識すると、警戒して近寄らなくなるらしい。

 ただ、一番どこかに行ってほしいのは熊。どうしたら近寄らなくなるのか。
 
(2023年8月7日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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