北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


オオカミの森*姉弟3頭 末弟がリーダー


 旭山動物園の「オオカミの森」には現在3頭のシンリンオオカミがいます。この3頭は姉弟で、長い間旭山動物園の群れを率いてきたケンとマースの子どもたちです。長女のレラはアイヌ語で「風」という意味です。オオカミの社会には「順位」というものがあり、レラは3頭の中で一番下位。順位というのは生まれた順番には関係なく、家族を単位とする群れの中で過ごしていくうちにお互いの関係性が築かれていきます。

 次女のワッカは「水」という意味です。体格も良く、オオカミに対しては強気ですが、人に対しては警戒心が強い。末っ子のノチウは「星」という意味です。唯一オスでリーダーの役割を果たします。他の2頭がケンカをすると仲裁に入るなど群れの調和を保つような行動をします。

 3頭は関係性が良い時には一緒にいることが多いですが、関係性が悪くなると、レラが放飼場(ほうしじょう)の奥に隠れていたり、離れたところで様子をうかがったりします。レラは他の2頭が遠ぼえをしている時には参加せず、全く違う場所で歩いたり、寝ていたりすることが多いのですが、先日は遠ぼえに参加していました。

 高い声でいろんな声を出すワッカと、安定した低い声を出すレラ、2頭を気にしながら太い声を出すノチウ。遠ぼえ後、あいさつ(お互いの顔をなめる)をしにワッカとノチウがレラの方へ歩いていきました。

 100年以上前に北海道に生息していた「エゾオオカミ」も、このように群れで遠ぼえをして他の群れに対して存在を示したり、コミュニケーションを交わしていたのだと思います。エゾオオカミが生息していたかつての北海道をイメージして作られた「オオカミの森」。ここで生きるオオカミたちの様子を伝えていきたいと思います。(オオカミの森・ととりの村担当 原田佳)
 
【写真説明】雪の舞う中、たたずむシンリンオオカミの(左から)ワッカ、レラ、ノチウ
(2022年12月19日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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