北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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道北企業探訪


ななかまど編集部が行く!道北企業探訪 正和電工株式会社

プロフィール
正和電工株式会社
代表取締役 橘井 敏弘さん

1947年、北見市生まれ。76年正和照明商事入社、88年社名を正和電工に変更し代表取締役社長に就任。2015年春、バイオトイレ事業への取り組みが評価され黄綬褒章を受章。「何か趣味をと思って昔5年くらいゴルフを一生懸命やってみたけど、仕事のほうが趣味だね」と笑う仕事人間。

 


社員は10名前後で推移という少数精鋭の事務所風景

 

「バイオの力でエコな社会を」開発力で時代を切り拓く

 

バイオトイレで知られる正和電工さんですが、元々は一般家電製品の卸売をされていた御社がなぜこの事業を始められたのでしょう。

 私が45歳の時に病気で胃の5分の4を切除したことで、それまでの精力的な営業活動が困難になったのが契機となりました。「こちらから売りに行くのではなく買いに来てもらえる商材を」と考え、最初に注目したのが水です。浄水器の販売を始めた次は、コンポストはどうだろうかということで、環境関連の展示会に足しげく通うようになりました。その経緯で長野の会社のコンポストトイレと出合ったんです。

 

生ごみを処理する菌は糞尿も処理できるということですね。

 そうです。ところが、仕入れて間もなくメーカーが倒産してしまいました。そこでその会社から意匠を買って改良し、自社商品として売り出したのが平成10年頃からとなります。

 

バイオトイレの仕組みを教えていただけますか。

 弊社の「バイオラックス」は、水や特別な菌は一切使わず、普通のオガクズでし尿を処理します。オガクズの中の微生物が有機物の85~90%を分解し、残った無機物の窒素、リンなどはオガクズの中に空いた穴に付着していきます。オガクズの体積の半分は空気ですからね。この穴が埋まった時がオガクズの交換時期で、年に2、3回の交換で済むのが特徴です。使用後のオガクズは肥料として活用できるので環境に優しいですし、トイレの室内も皆さんが驚かれるほどにおいがまったくありません。

 

いいこと尽くしのようですがマイナスな要素はないのでしょうか。

 おかげさまで多い時で月に50件もの引き合いがあるのですが、問い合わせを受けた後のフォローが実は思うようにできていないという現状があります。弊社の基幹事業である家電のカタログ販売が堅調で、その対応に追われてしまっているんです。いい人材がいればぜひ来ていただきたいところですね。

 

最近はバイオトイレにとどまらず、駆除シカの分解処理装置なども開発されています。

 駆除された害獣の処理は埋めるか燃やすかしかなく、現場では苦労されているということを知り開発したのが分解処理装置です。シカの死骸をまるごと入れるだけでオガクズが分解してくれます。後に残った骨を砕くための装置も作りましたが、これを応用してラーメン店向けの骨破砕機も開発中です。骨を砕けばスープを取る時間の短縮になり、燃料も抑えられエコにつながります。また、トイレ以外の生活排水を処理する浄化装置も開発し、バイオトイレと合わせることで「下水道がいらない」住環境を提案しています。

 

最後に今後の展望をお聞かせください。

 作りたいものは作り終えたので「さあ次は売っていくだけ」、そう思っていた矢先に世界情勢がおかしくなってしまいました。しかし、世界的に飲料水の確保や生活排水による汚染が問題となっていますから、これからの時代にふさわしい製品として必ずニーズがあると考えています。営業に興味のある方はぜひご連絡ください(笑)。

 


社屋の外に設置されたバイオトイレは長年稼働中でもまったく無臭


あらゆる場所での設置に対応できる仮設のバイオトイレ

国土交通省が推進する快適トイレ仕様のモデル

 

 

[取材協力]
正和電工株式会社
旭川市工業団地1条1丁目3-2
☎︎0166-39-7611

1974年照明器具の卸問屋として会社設立し、1995年より生ごみ処理機・バイオトイレの生産を開始。自社工場は持たず、バイオトイレ製品は全て地元業者へアウトソーシング。「バイオトイレが1台設置されればその分、水がきれいになる」をモットーに、旭川から全国、そして世界へ発信中。

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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