北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


藤沢隆史(礼文町教委主任学芸員)*100年越しに触れた思い

 2月のロシアによるウクライナ侵攻から半年以上が過ぎました。誰もがこの悲惨な戦争が早く終結することを願っていると思います。

 今から約120年前、日本もロシアとの戦争を経験しました。日本海海戦や旅順攻略戦などで知られる日露戦争です。この時、礼文島からの出征した方の中で、旧船泊村の人々が戦地などから出した手紙が礼文神社に残されていたことがわかりました。

 総勢65人が書いた手紙は、封書とはがきを合わせて277通、本殿の奥深くに安置されていたため、今の宮司もその存在を知りませんでした。手紙の宛名が家族ではなく、大半が船泊村長になっていました。出征の見送りや出征中に村が送った慰問品に対するお礼の返信だったからです。しかし、村へのお礼だけではなく、戦場となった中国東北部の気候や風土、自分の部隊の状況、島で暮らす家族への思いなどさまざまな事柄も書かれていました。

 日露戦争が終結した年に手紙が奉納されました。今の世界情勢の中で、かつてロシアと戦った礼文島の人々の思いに手紙を通して触れることができたのは、はたして偶然なのでしょうか?
 

(2022年9月25日掲載)
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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