北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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旭山動物園わくわく日記

全国的な人気を呼ぶ旭川市旭山動物園の話題やイベント、裏話などを紹介します。 旭山動物園ガイドとしてもお楽しみいただけます。 2020年3月までの記事はこちら


キンクロハジロ*泳ぎ俊敏 潜水得意なカモ


 
 水鳥のすみか「ととりの村」で、多くの来園者が「これはカモ?」と首をかしげる鳥がいる。飼育員の原田佳さん(42)が「カモの仲間の、キンクロハジロです」と説明すると、来園者は聞き慣れたマガモやカルガモと異なる名前に一瞬戸惑いを見せる。

 名前の由来は、目が金色で、頭や背、胸などが黒色、おなかが白色だから。体長は40センチほど。頭にはちょんまげのような飾りの羽がある。

 泳ぎが得意で、動きが特徴的だ。池で優雅に休んでいると思うと、群れの中の1羽が勢いよく頭から潜り、そして少し離れた所から顔を出す。昆虫や植物などの餌をとるため、まるで忍者のように姿をくらませる。マガモやカルガモなどにはない俊敏な身のこなし。野生下ではシジミが好物で、深さ数メートルまで10秒以上、潜る。

 水を強く蹴る能力があり、カモ類の中でも足が後ろの方についている。原田さんは「潜る時は格好良いけど、歩く時は胸を張る感じでかわいい」と、ギャップに心ひかれる。

 現在は17羽を飼育。他のカモより警戒心が強く、適切な場所が見つからないと繁殖を諦めることもある。今年は自然ふ化で6月中旬に3羽、ふ卵器を使って7月下旬に2羽が生まれた。

 ふ卵器で生まれた2羽は人が育てる。いつもはバックヤードにいるが、週2回ほど屋外の水槽に放つ。日光を浴びせ、骨をしっかり成長させるためだ。ふわふわの毛に覆われた15センチほどの小さな体だが、立派な足を持ち、素早く水中を泳ぎ回る。泳ぎの練習は8月中旬までといい、2羽は来春から群れと一緒になる予定だ。

 キンクロハジロは冬に渡り鳥として日本へ飛来し、湖や川で暮らす身近な鳥。旭川市の永山新川にもおり、道東では繁殖しているとみられる。風力発電施設などにぶつかるバードストライクで死ぬこともある。

 原田さんは「ととりの村は、鳥の居場所に人間が入っていく施設。身近な鳥のことをもっと考えられる場所にしたい」と話す。(鳥潟かれん)
 
【写真説明】池で悠々と過ごすキンクロハジロ(諸橋弘平撮影)
(2022年8月15日掲載)
 
 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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