北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


村山修(枝幸・ダイニングバー店主)*ケリをつける

 今シーズン、アキアジを食べていないような気がする。知らぬ間に、目の前を泳いでいってしまったのだろう。店の自粛時期でもあったので、全く調理する機会はなかったし、モチベーションも消えうせているというのが正直なところ。

 サケを下ごしらえして料理らしいことをしたといえば、友人からたくさん白子をいただいた時に、ザンギにしてお返ししたくらいのもので、こんな秋は初めてじゃないだろうか。

 おまけにサンマだって食べていない。

 母は母で、昨年からイズシを漬けるのをやめてしまったし、今年はシカの食害で小さな畑のジャガイモが全滅し収穫の楽しみもなくなった。代々伝わる品種で、これも途絶えたとなると、何だか責任も感じてしまう。そういえば毎年楽しみにしている多品種のジャガイモの販売もなかった。

 サケやジャガイモと縁遠い今年の秋。

 それでも、友人からは、巨大なオヒョウやタラの白子、前浜のホッキ貝などの写真が送られてくるので、そろそろやる気を出さないと、空白の1年にケリをつけられない。

 それでも、透明な仕切りは物理的な遮断だけじゃなく、気持ちのなかに晴れないモヤモヤを残している。

 それでも、季節は待ってくれないので手始めにクチグロマスをさばいてみる。

 

(2021年11月22日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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