北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


谷龍嗣(留萌・僧侶)*「今度はない」

 「コロナになってわかったのは『今度はない』と言うことですね」。お檀家(だんか)さんとの会話です。コロナの前「また今度ね」と言って別れた人がいます。しかし、コロナで葬儀に参列できず、大切な人はお別れもできずに旅立ちました。「今度、旅行行こうね。今度、一緒にご飯食べようね」と言って別れた時は「もう会えない」なんて思わなかった。「今度があるって思っていましたから…」

 学生時代に修学旅行で行ったお寺のお坊さんの言葉が頭に残っています。「今日できることは、今日やろう」「明日がある保証はどこにもない」。私は、そう思って生きてきましたけど、今は本当にそう思います。でも、これってコロナでも、コロナじゃなくても変わらないことですよね。でも、人って何かがないと気づけないんですよね。

 今、そんな言葉を思い出しながら、5歳の子供の寝顔を見ています。いつまで一緒に寝てくれるんだろう。そう思うと、たまらなくいとおしくなる。言うこと聞かないし、本当にイライラすることたくさんあるけど。今晩は、ぎゅっと抱きしめながら寝ようかな。

 大切な人に特別な言葉を伝えるのも大切。それと同じくらい平凡な日を丁寧に生きる。これもまた、大切。いろんな言葉や出会いに「気づき」をもらっておやじ5年目を歩んでいます。

 

(2021年7月19日掲載)   

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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