北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


安川としお(士別・朗読パフォーマー)*カルトナージュ

 テレビの解説や新聞のコラムなどで、スポーツジャーナリストの増田明美さんの、キラリと輝くような表現に出合った時など、これまで私はその感想を素直に書き送ってきた。私の手紙から「元気をもらえる」と彼女は言ってくれる。
 3月の初めにも、新聞のコラムで、マラソンの大迫傑選手の走りに触れて、「日本の長距離界にそんな高め合いの追い風が吹いて…」と表現した清(すが)しさを手紙で称賛した。
 すると、数日後に彼女から荷物が送られてきた。中身はカルトナージュ(厚紙を芯にして布を張った小箱)で、前後左右の側面は青と緑のストライプで装われ、ふたにはスヌーピーとチャーリー・ブラウンの描かれた布が張られている。柔らかい手ざわりで、何を入れようかとワクワクするすてきな箱。「心がほっこりする春風のような便りがうれしかった」という手紙が添えられていた。
 増田さんがずっと支えてくれている合宿の郷(さと)士別。今夏は多くのスポーツイベントも中止になり、訪れるアスリートは激減する。しかし長く培われてきた市民の力はなえることなく、明年は何事もなかったかのようにさまざまな営みが展開されるに違いない。連盟の長としてパラ陸上を仕遂げた後、増田さんが士別を訪れる時まで、ほっこりとした思いを広げるものでカルトナージュを一杯にしておきたい。
(2020年5月18日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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