北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

どうほく談話室


天塩ちびっ子レスリング少年団監督 横溝茂さん(72)

競技の楽しさや厳しさ教え40年*言葉での選手指導 大切に

 【天塩】来年で設立40周年を迎える天塩ちびっ子レスリング少年団。設立者で元天塩町職員の横溝茂さん(72)は、監督として小学生を中心に子どもたちにレスリングの楽しさや厳しさを伝えてきた。自身も高校時代に国体で優勝するなど国内外の大会で好成績を残した元レスリング選手だ。少年団への思いやレスリングの魅力を聞いた。
 

――来年で設立40周年を迎えます。
 「通過点だと思っています。自分が楽しいと思うことをやってきたので、あっという間でした。少年団のモットーは『楽しむ』。子どもたちにレスリングを楽しんでもらうことが少年団活動の目的です」
 「もともと私が理事長を務めていた天塩レスリング協会(現在は活動休止)が40年前、少年レスリング普及のために始めた体力づくり教室が少年団の前身です。団員は10年前がピークで27人いましたが、いまは町内の5歳~中学3年生13人が所属しています。私とコーチ4人で指導に当たっています。道内には現在、レスリング少年団が9市町に計11団体あり、天塩は3番目に早く設立されました」

――昨秋の道レスリング選手権大会で、少年団から各部門の3位以内に過去最多の4人が入賞しました。
 「全道の大会で3位以内に複数の団員が入賞したのは7年ぶりでした。昨春から基礎体力づくりのため、練習前に30分のランニングを取り入れたことに加え、他チームとの練習試合を増やしたことも大きいですね。子どもたちは試合慣れし、度胸もつきました」

――指導者として心掛けていることは。
 「子どもたちに言葉で伝えることを大切にしてきました。子どもたちの性格はそれぞれ違います。うまく伝わらないこともありますが、厳しく怒られてもやる気は出ない。体罰は論外です。どうすれば勝てるか、強くなるかということを子どもたちが自ら考えないと成長しません」

――レスリングの魅力を教えてください。
 「努力によって試合で勝つといった結果につながるのが魅力だと思います。個人戦の勝敗は自身の力次第です。団体戦は個人の力はもちろんのこと、チームの仲間を応援してみんなで勝利をつかみ取るという団結力も養われます」

――今後、どのような少年団を目指しますか。
 「レスリングをやっていたことがいい思い出になるような少年団であり続けたい。名前は少年団ですが、小学生から大人まで受け入れます。レスリングを長く続ける子どもが増え、自分が果たせなかったオリンピックに出場するような選手が天塩から生まれるのが夢ですね」(聞き手・天塩支局 田中雅章)
 

*取材後記
 「いつでも全力で」―。練習のたびに、横溝さんは子どもたちに声をかける。その理由を「普段から心掛けないと、試合で最初から全力を出せない。全力を出せずに負けると悔いが残る」と語ってくれた。
 取材中に何度も耳にしたのは「子どもたちにレスリングを楽しんでほしい。スパルタ指導は嫌い」の言葉。横溝さんの思いが伝わり、今後も道内外で活躍する選手が一人でも多く誕生することを期待したい。
 
 よこみぞ・しげる 1951年、天塩町生まれ。旭川南高、中央大のレスリング部で主将を務めた。69年の長崎国体で優勝、73年のアジア選手権大会で準優勝など国内外で活躍。74年に町役場入り。85年に天塩ちびっ子レスリング少年団を設立した。町内在住。
(2024年1月15日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


GO TOP