北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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どうほく談話室


大雪カムイミンタラDMO副理事長 佐藤昌彦さん(59)

上川中部1市8町の観光振興*スキーや繁華街 環境生かす

 上川管内中部の自治体などで構成する観光地域づくり推進法人(DMO)「大雪カムイミンタラDMO」(理事長・今津寛介旭川市長)は7月28日、上川中部で唯一未加盟だった美瑛町が加入し、中部1市8町の足並みがそろう。6月に上川総合振興局長から、DMO副理事長に転身した佐藤昌彦さん(59)に展望を聞いた。
 
――「振興局長から切れ目なく働かなければ、地域の信頼を得られない」と定年まで1年を残し、道を退職しましたが、地域の反応はどうですか。
 「よく残ってくれたねと温かい反応と同時に期待の声もあります。期待を裏切らないように地域のためにやっていくことが一番求められていると思います。働く場所をとるか、仕事の内容をとるか、最後は選ばなければならないが、両方の希望がかない、幸せです」

――就任後、上川中部の観光で課題は見えましたか。
 「観光客が夏に多く、冬に少ない季節の偏在です。上川中部は雪質が良いパウダースノーの地域で、旭川市には繁華街『3・6街』もあります。季節の偏在を解消するために、スキーとまちなかの両方を楽しめる都市型リゾートの環境を生かしたいと思います。8町にもそれぞれの個性と魅力があるので、うまく連携させてPRしたいと考えています」

――DMOは美瑛町の加入で、上川中部1市8町が全て入る組織になります。
 「すごく意義深いことです。美瑛町は新型コロナウイルス禍前から、観光客の急増が住民の生活に悪影響を及ぼす『オーバーツーリズム』に問題意識を持ち、いち早く条例で危機感を打ち出しました。そういう町が加わることは非常に勉強になります。これまで富良野市と『富良野・美瑛』という一つのブランドとして取り組んでいるので、私たちと富良野の結束点になることを期待しています」

――観光客の道央圏への一極集中も課題です。
 「富良野だけでなく、名寄市や士別市などと連携した取り組みで上川管内が一つになり、留萌管内、宗谷管内も含めた道北圏が魅力を高めていく必要があります。そうやって頑張ることで、道央圏に対する地域の偏在も解消されると思います。まだまだやれることはいっぱいあります」

――9月には道内で体験型観光の国際イベント「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット(ATWS)」が開催されます。
 「この地域はアドベンチャー・トラベルの一番の適地。サミット後の『ポストサミット』で、旅行関係者が旭川市、上川町、東川町を巡るツアーを用意しました。世界中に地域の魅力を訴えます。新しい課題も見えてくるかもしれません」
(聞き手・仁科裕章、写真・宮永春希)

 
*取材後記
 公務員との違いを尋ねたところ「居心地が良くて、今のところはないかな」と笑顔で返された。道職員時代、「役人らしくない」と慕われた気さくな人柄。民間人になっても変わらないのは当然なのだろう。

 本庁に戻って出世する道を捨て、上川管内に残っただけに地域愛を語り始めると止まらない。DMO理事長の今津寛介旭川市長が手腕を見込んで就任を要請したのも分かる気がする。
 
 さとう・まさひこ 1964年、旭川市生まれで江別市育ち。札幌西高、明治大商学部を卒業後、ファストフード店の店長を経て、90年に道庁入りした。経済畑を歩み、2021年に道観光局長から上川総合振興局長に就任。6月から大雪カムイミンタラDMO副理事長。

(2023年7月17日掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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