北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

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漢(はた)幸雄(士別・劇場館長)*半分だけの家系図

 父方の祖父の一家は、明治末期に広島県から屯田兵として上川郡剣淵村に渡ってきた、と父から聞いていた。だが詳しいことは何も伝わっておらず、その経緯も、広島県に親戚が残っているのかも分からない。

 父が20年ほど前に集めていた戸籍謄本の類いをもとに、父方「漢家」だけでも家系図を作ることを思い立った。読みづらい筆文字や、ペン書きの崩した文字を読みながら、名前を線でつないでいく。

 初めて見る名前や関係が曖昧だったものが混在しながら、一つの系統図となって現れる。戸籍謄本がない部分は父や親戚に問い合わせる。とりあえずと思って作った家系図には179人の名前が並んだ。古いところでは天保の記載があり、令和までで6世代になる。

 有名人はもちろん皆無。市井の人々だ。珍しい姓なので、北海道内の同姓はほとんどが血縁ということになるのだろうが、そこまで網羅できたわけではない。探せる範囲はまだあるが、なかなか作業は進まない。もっと早く作っておけば良かった、というのが結論で、故人となった人に尋ねたいことだらけ、である。

 それでも、私が生きているのは、これらの人々があってこそ。100年後にはどんな名前が追加されていくのか。子孫にはきっと、私の名前は知らない、と言われるのだろう。

 

(2022年5月2日掲載)

 

 

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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