動物と、人と、しあわせと。
獣医師、動物看護師、しつけインストラクター、動物病院従事者が中心となって、専門的視点に立って、人と動物の愛を護る活動をするNPO手と手の森と旭川市動物愛護センター『あにまある』からお届けする動物と人とのお話です。
vol.64 飼い主と犬の関係は上下関係ではありません!
飼い主さんからよく
「犬が私の言うことを聞かないのは自分の方がえらいと思っているからでしょうか?」
という質問を受けます。おそらく犬には偉いとか偉くないというような概念はありません。もし痛いことをして言うことを聞くようになったとしたら、それはその人を「偉い」と思うようになったからではなく、「怖い」と思うようになっただけです。暴力が尊敬や信頼の念を生むことはありません。
例えば爪切りを嫌がって咬んでくる犬も自分の方が偉いから怒っているわけではなく、不快なことから逃れようとしているにすぎません。
飼い主が犬のためにしていることでも、犬にとっては意味不明な迷惑行為にすぎず、逃げようとするのは正常な反応であって問題行動ではありません。
しかし残念ながら、このような場面で恐怖心から攻撃的にふるまう犬に、体罰を与えたり無理やりひっくり返したり、口元をつかんで叱るというような方法をアドバイスする人がいます。
このような行為は犬にさらなる恐怖心を与え、飼い主と犬の関係をますます悪くするだけです。犬は言葉が通じないから叩いて教えるという人がいますが、
言葉で補えないからこそ誤解や不信感を生みやすいのです。
すべきことは無理やりではなく、犬が理解できるように教えることです。
協力:緑の森どうぶつ病院
旭川市旭神3条2丁目
TEL 0166-60–5866
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