北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

北海道新聞旭川支社|北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

今週の一枚


2026年9月15日(火)

十勝岳 警戒レベル3*地域に緊張 観光に影響

一部施設 キャンセルも*大正泥流100年「冬が心配」

 【上富良野、美瑛】十勝岳の噴火警戒レベルが3に引き上げられた9月12日、規制範囲内にある上川管内上富良野町の吹上温泉に避難指示、十勝岳温泉に自立避難の難しい人を対象にした高齢者等避難が出された。登山道では町職員らが入山規制を知らせる看板を設置し、登山客に注意を呼びかけるなど対応に追われた。上富良野と同管内美瑛の両町は警戒を強めるとともに冷静な行動を呼びかける。一方で、紅葉シーズンを前に一部の宿泊施設で予約客のキャンセルも出ている。

 美瑛町の望岳台では、町職員らから登山規制について説明を受ける観光客らの姿が見られた。浜松市の自営業鈴木睦政さん(63)は「しょうがないけど、残念だ。今日は十勝岳周辺を回って過ごしたい」と話した。

 上富良野と美瑛の両町は災害対策本部を設置し、十勝岳や交通規制の状況を確認した。美瑛町の角和浩幸町長は「情報に注意しながら、冷静に日常を送っていただきたい」と町民らに呼びかける一方、「危険に対してきっちり対処できるよう準備を進める」と話した。

 宿泊施設は予約のキャンセルや施設の営業などについて、問い合わせに追われた。

 おおむね3キロ以内の立ち入り規制区域内にある吹上温泉の白銀荘では、訪れた日帰り入浴客に事情を説明し、帰ってもらった。運営する上富良野振興公社の深山悟常務は「当面は1週間、宿泊予約をキャンセルする。いつまで続くのか」と表情を曇らせた。

 高齢者等避難が出された十勝岳温泉の凌雲閣では登山口の閉鎖状況や施設の営業などを確認する電話が相次いだ。青野範子代表取締役(60)は「宿泊予約や日帰り温泉を利用する人の年齢確認をしていく」と冷静に対応する。

 火口から約6キロ離れ、規制範囲外の美瑛町の白金温泉でもキャンセルの動きが出ている。約20件のキャンセルがあった「ホテルパークヒルズ」の斉藤信道総支配人は「レベル2に引き上げられた時よりも影響が大きい。今月は大型連休もあって打撃」と話す。

 同温泉で「碧(あお)の美 ゆゆ」と「森の雫 RIN」のホテルを経営する西海正博社長は「もしレベル4となった場合にはホテルの光熱費や人件費などの維持費の支援が必要。美瑛町や北海道、場合によっては国に対しても要望をしていかなくてはならない」と訴える。

 今年は144人が犠牲になった1926年(大正15年)の十勝岳噴火による大正泥流の発生から100年がたつ。上富良野町で最も大きな被害を受けた日新地区の農家片倉喜美夫さん(71)は「冬は噴火で雪が解けて泥流が起きるかもしれない。大正15年の時もその前に小さな噴火が続いたと聞いているので心配だ」と話す。「うちの地区は泥流被害を受ける最前線の場所になるかもしれない。危険な場合は事前避難できるようにしたい」と気を引き締める。

 レベル3のまま積雪期に入った場合、噴火警戒レベルは4に引き上げられる。上富良野町の斉藤繁町長は「融雪型火山泥流に警戒しなければいけない。町民がいつでも避難できるよう準備を進めていきたい」と述べた。(武内敦貴、山中悠介、朝生樹)

【写真説明】登山者を捜すため、十勝岳(奥)に向かう北海道の防災ヘリ=9月12日午後3時10分、美瑛町白金(伊丹恒撮影)
(2026年09月13日掲載)

上記掲載の写真は、道新写真サービスにてご購入できます。 道新写真サービス

写真・記事に「北海道新聞」の題字を付けて、特別にレイアウトした額装のマイ・クリップもございます。 マイ・クリップ

※記事、写真の著作権、肖像権などの理由によりご提供できない場合があります。


そのほかの新聞記事

GO TOP