北海道新聞 旭川支社 + ななかまど

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北極星

道北各界で活躍する皆さんによるエッセーコーナーです。 2020年3月までの記事はこちら


奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*終息を願って

 3月1日、岩ノリ漁が解禁になると、海岸沿いの岩場がにわかににぎわった。焼尻島の、いつもの光景だ。他方、道内はこの2日前、新型コロナウイルスの感染拡大を受け鈴木直道知事から「緊急事態宣言」が出された。不要不急の外出を控えましょうとのこと。だが、この時期の島はそもそも観光客が皆無なので、いつもと変わらない印象だ。

 ただ宿泊業に携わる身としては、穏やかではない。自粛ムードで繁忙期に観光が回復するとは思えない。焼尻島ではゴールデンウイーク以降に船の便数が増え、観光客がやってくる。

 例年なら、3月にもなるとチラホラと宿泊予約が入っているものだが、さすがに今年は予約も皆無だ。仮に予約希望があったとしても、どこかまだ受け付ける気分になれない。

 島を訪れる人たちと楽しい時間を共有したい一心で交流型ゲストハウスを営むのに、今はその“交流”が不安要素であることも歯がゆい。万一、島で感染拡大なんてことになってしまっては、と想像する。

 報道を見ても、さまざまな人が、さまざまな立場で対処に追われている。僕らも、今後情勢が好転しないようであれば、今年の営業や生活を見直さなくてはならない。今はいつもと変わりない島だけど、繁忙期まで活気を欠くようでは、やはり寂しい。終息を願いつつ動向に注目しようと思う。

(2020/03/22掲載)

 

※掲載情報は、取材当時のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。


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